上手な叱り方

叱るって難しい

 

怒り

怒りの発生原因として

 ①相手の心情や状況に対する負の想像

  状況に抗わずに、その行動を意図的に行なったという認知

  能力があるのに、回避が回避努力をしなかったという認知

 ②状況がままならないことへの怒り

が存在する。

 

怒ることのメリット

・短期的には、対象の行動が変化するので、効果があったと実感しやすい

・イライラ情動状態から回避することができる

 

両方ともが「好子」であるため、行動をつい続けてしまう。

 

怒ること、叱ることへ依存

怒ったとしても大抵、長期的には効果がない。そのため強く怒る・叱る。しかし短期的にしか効果がない。長期的には相手が失敗をし、自分が悪いのではなく、相手が悪いと思ってしまう。自分の行動手法が適切でないことに目を向けることができない。

 

そのため、自分を合理化する。以下の発言が見られやすい

「心を鬼にして、怒る」

「怒らなければ、叱らなければ、相手のためにならない」

「叱らないなんて、親の怠慢だ」

「こんなに何度も言っているのに、全然変わらない」

「見つけるたびに言い聞かせているのに、直らない」

と自分を正当化して、怒ったり叱ったりすることに依存する。

 

そもそも自分の行動を理解も制御もできていないのに、相手の行動を制御できるわけないじゃん。無理無理。

 

怒る・叱ることのデメリット

徐々に叱られる側は「苦痛やストレスから逃れること」しか考えられなくなる。その状態で具体的な学習などほぼ不可能に近い。

何度も与えられる「苦痛からストレスを感じる状態」から回避する行動パターンが形成されるため、将来的に依存症リスクが高まる。

 

基本的に怒られた側は、その後叱られそうな場面を回避しようとするようになるだけである。その行動自体を改めることはない。上記の依存性・デメリットを把握した上で叱るべきである。

 

そもそもどうなったらOKなのか?

そもそも、叱ることの目的は、「問題行動」を減少させ、代わりに「望ましい行動」を増加させることである。その場の行動自体を減らしたい場合もあるが、他の場面でも行動が起きない状態になることが望ましい。

 

叱る前に「特定の状況において、どう振舞ってほしいのか、どうあってくれたらOKなのか?」という問いに答えることができる必要がある。その後、そう振舞ってもらうためにできることは何か考えるべきである。

 

具体的には「問題行動」を引き起こす状況と、その結果起きることを観察して、制御する必要がある。

 

まずは行動が発生する状況を理解し、対処する

問題とされる行動が見られる前の(多くの場合直前のこと)その子供の状態像や周囲との関わりを考えたり、修正する視点がこれ。そもそもその子がなぜその言動をするのか、せざるを得ないのかを考える。

 

しないのか、できないのか

「しない」は本当にそうか?

しないというより、知らない、気づかない、わからない、忘れてしまったなどの「できない」が潜んでいる可能性

 

過去に何度かできてでも、できるという根拠としては弱い

行動の発生は、状況に左右される。何度かできたことを理由に、「できない」ではなく、「しない」のだと考えるのはかなり論拠が薄い。

 

対処法

おすすめ:要求水準を下げる

できない理由を明確にして、サポートする

 

②行動の直後に行う対応について理解する

「問題行動」が起きた直後に、相手に行っている対応(〜数分)を把握する。

「望ましい行動」が起きた直後に、相手に行っている対応を把握する

 

対処法

相手が少しでも「望ましい行動」をしたら、相手に快情動を感じてもらう行動をする必要がある。

「望ましい行動」が望ましい水準に届いていなかったとしても、快情動を感じてもらう必要がある。

 

俺はよほど高い水準の「望ましい行動」をした時しか、認めないぞ!褒めないぞ!というなら、それはそれで良い。相手が「望ましい行動」を行うようにならなくても良い未来の選択をするのは個人の自由なので。

 

注意点:褒めても、相手の行動が変化しないということは、相手に快情動を感じてもらえてない状態ということである。なので、シビアな結果と向き合う必要がある。

 

 

快情動は、予想と結果の落差により働く

 

 

 

問題となる行動があった後に、周囲がどのような対応をしたのか、もしくはその子にどんなことが起こったのかを考えるのが「後裁き」の視点。叱るや褒めるはここ

 

 

理不尽な要求をしてしまったら、謝罪するようにする

 

 

参考にさせていただいた記事群

叱るについて④ 叱る以外の方法論「後さばき編」 | 村中直人の雑記帳